第40章 深海の島と海の森
森の奥から、たくさんの魚人たちが集まってきた。
「しらほし姫~! 今の悲鳴はいかがなされた!」
どうやら原因は先ほどのしらほしが上げた悲鳴のようだった。
魚人たちはみんな武装をしていて、まるで兵士のようだった。
もしかして、しらほしって…。
「貴様、曲者か…! 姫になにをした!」
「え…ッ」
槍の切っ先を向けられて、思わず両手を上げた。
すみません、お姫様とは知らず道案内をさせようとしました…。
なんて言えるはずもなく、モモは困り果ててしまう。
「みな様…、お待ちになってください。誤解です…。」
頼みの綱のしらほしまで、オロオロとしてしまっている。
これはまさかの捕まってしまうパターンか。
ああ、ローに怒られる。
兵士に囲まれた恐怖より、その後のローの反応に怯えだした時だった…。
「…オイ、てめェら、誰に向かって武器を向けてやがる。」
兵士たちがやってきた時と同じように、森の奥からローが現れた。
モモが想像していたとおりの、怖い顔をして。
ヒーローの登場のはずなのに、どっからどう見ても悪役面な彼に少し笑った。
「貴様、さっきの観光客…! 一般人を装って、姫を攫いに来たのか!」
「姫…?」
ローの視線がこちらに向いた。
(いや、わたしじゃないから…。)
まさかの誤解にぷるぷると首を振り、目線でしらほしを指した。
普通に考えて、こちらがお姫様だろう。
ローの視界にようやくしらほしが入ったようだ。
こんなに大きいのに、見えてなかったのか?
「そんな女に用はねェ。」
興味なさそうにしらほしを一瞥すると、彼女はビクリと肩を震わせた。
モモにですら怯えて泣き出したしらほしだ。
凶悪顔のローなんか、どんなふうに見えてしまうのだろう。
「とりあえず、関所まで来てもらおうか!」
兵士たちの刃がモモだけではなく、ローとコハクにも向いた。
「……。」
ローは無言で手のひらを広げる。
能力を出そうとしているのだ。
ああ、また騒ぎになっちゃう…。
モモが胸をハラハラとさせたとき、震えていたしらほしが声を上げた。
「待ってください…ッ。その方は、ルフィ様のお友達です…!」
麦わらのルフィ…?
思わぬ名を聞いて、モモは目を瞬かせた。