第40章 深海の島と海の森
結局、薬屋であれこれと欲しいものが増えてしまい、荷物はあとで気のいい店主が船に届けてくれることになった。
「すっかり遅くなっちゃった。みんな待ちくたびれてしまったかしら。」
さすがに待たせすぎてしまったかと反省する。
「アイツらも勝手に盛り上がってんだろ。気にすることじゃねェ。」
「まぁ、そうね。」
ローの言うとおり、彼らはモモたちが来ないからといって気兼ねするようなタイプではない。
「なんなら、他の観光スポットに行くか。」
「はあ? みんなはどうするんだよ。」
「ガキじゃねェんだ、勝手に帰るだろ。」
急な行き先変更にコハクは驚くけど、モモは違うことを思っていた。
(ロー、そんなにマーメイドカフェに行きたくないんだ…。)
さりげなく違うところへ行こうとしているみたいだけど、実際はただマーメイドカフェに行きたくないだけだろう。
ローがそれほど苦手としている場所には少し興味があるが、行きたくない場所に連れて行ってもらうのはモモとしても嫌だ。
グランドラインの名スポットと言われるほどの島だ、他にももっと楽しめるところはあるに違いない。
「例えば、他にどんな場所があるの?」
試しに聞いてみると、ローは少し考える素振りをみせてから「ああ…」と思いついたように言った。
「海の森なんか、お前が好きそうだな。」
「海の森?」
海なのに、森って…?
矛盾めいた地名に首を傾げていると、それを聞いてヒスイが反応した。
「きゅきゅ!」
「え、おい…、ヒスイ!」
急にピクリと反応したヒスイは、コハクの頭から飛び降り、一目散に駆けていった。
そのあとをコハクが追う。
「え…? 待って、コハク、ヒスイ!」
駆け出した2人をモモも追った。
「だから…、勝手に行動するなと…ああ、もういい。」
きっと言っても無駄だと悟り、ローも黙ってあとを追った。