• テキストサイズ

セイレーンの歌【ONE PIECE】

第40章 深海の島と海の森




ローとコハク以外のみんながいないところを見ると、他の仲間は先にマーメイドカフェに行ったようだ。

「ええっと、ついて来てくれたの?」

コハクはともかく、ローまで一緒に来てくれているとは思わなかった。

「…ひとりで行動するのは禁止と言ったはずだが?」

「あ…。」

そういえばそうでした。

船を降りるまでは おとなしくしていようと心に決めていたのに、薬屋を見たとたん、そんな考えは吹っ飛んだ。

「ご、ごめんなさい…。」

言ったそばから約束を破ってしまった。

「しょうがねーよ。母さんのソレは、病気みたいなもんだし。」

「びょ、病気…。」

コハクったら、そんなふうに思っていたのか。

ショックを受けながらも、「確かにな…」と納得してしまう自分もいる。


「なんでもいいが、薬が見たいんだろ。気が済むまで見りゃいいし、欲しかったらいくらでも買え。」

「え…ッ」

怒られると思いきや、とんでもなく太っ腹なローに驚く。

「ど、どうしたの、急に…。」

「別に…。薬剤師が必要なものだって言うなら、惜しむようなものじゃねェ。」

本当はモモが欲しがるものなら、なんでも買ってあげたいという気持ちの表れなのだが。

そんなことを言えるはずもなく“船長としての義務”に逃げた。


「ありがとう…! あ、でも、本当に遅くなっちゃうから、先に行ってていいのよ。」

店主に生薬を見せてもらったら、また自分を見失わない自信がない。

せっかくマーメイドカフェを楽しみにしていたはずなのに、モモのせいで時間が削られては申し訳なくなる。

「構わねェ。…俺はもともと、ああいう場所が苦手だ。」

「え、そうなの…?」

「ああ。なにが楽しいのかサッパリわからん。」

なんだ。
てっきりローも楽しみにしているのかと思ってたのに…。

なんだ、そっか。

苦手なんだ…。

人魚たちにデレデレするローは、モモの想像の中でしか存在しないらしい。


なんだろう、すごく嬉しい。



/ 1817ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp