第39章 欲しいもの
「なんだなんだ、騒がしいな!」
「…って、うわ! なんスか、コレ!」
ベポのはしゃぎ声を聞いて、船内でジャンバールを看ていたシャチとペンギンが外へ出てきた。
船を覆うシャボンの多さに、驚き叫ぶしかない。
『堕ちていくと、わかっていた。それでも、光を追い続けていくよ。』
一見適当にぶつかってくるシャボンだが、大小の様々なサイズがあり、ムラができないように、均等に膜を張っていく。
「なんだこりゃ! コーティングか? こんなコーティングの仕方、見たことねぇよ!」
しかし、船は間違いなくコーティングされていく。
それも人の手で行うよりも、ずっと早く。
当たり前でしょう。
樹液の使い方は、マングローブたちが1番よく知っているんだから。
『羽ばたいたら、戻れないと言って。探したのは、白い白い、あの雲。』
一度は、諦めてしまった冒険。
でも、ローはそんな自分を強引に連れ出してくれた。
一緒に行くって決めたなら、こんなところで立ち止まっていられない。
早く行こう、新世界へ!
『突き抜けたら、見つかると知って。振り切るほど、蒼い蒼い、あの海。』
モモの想いに応えるように、シャボンの樹液はついに船を完璧にコーティングした。
これならいつでも、新世界へと旅立てるだろう。
「すげぇ、これが…コハクが言ってた…。」
幻想的な風景に、目を奪われる。
『蒼い蒼い、あの海。』
『蒼い蒼い、あの海。』
見てみたいの、新世界の海を。
だから、ロー。
連れて行って、未知なる世界へ。