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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第39章 欲しいもの




『海に出たら、戻らないと誓って。目指したのは、遠い遠い、あの島。』

「なんだ、あれは…?」

ローが見つめる先では、ヤルキマン・マングローブからシャボンがプクリと吹き出ていた。

そんなのは珍しいことじゃないけど、不思議たったのは、シャボンの色。

「すごい、金色だ!」

ベポの言うとおり、そのシャボンは月明かりでもわかるほど、黄金に輝いていた。


『突き進んだら、変われると教えて。目覚めるほど、深い深い、あの海。遠い遠い、あの海。』

モモの歌に応えるように、ヤルキマン・マングローブたちは次々と黄金のシャボンを吹き出した。


『呆れるほど簡単に、錆びついた籠は壊れた。見飽きた陸は、ねえ さようなら。振り返ることはもう、ない。』

冒険を求める海賊が、後戻りしちゃカッコ悪いでしょう?

ほら、進もうよ。
みんなで…。


『揺らめく船に身体を預けて、この大地を蹴って、旅立つ!』

「これは…?」

向かい風じゃないというのに、樹の根から吹き出た黄金シャボンは、続々と船に近寄ってくる。


『飛び出したら、手にできると教えて。誘うのは、遠い遠い、あの波。』

パチュンとシャボンのひとつが船に当たり割れると、ぶつかったその部分には、薄いゼリー状の膜が張った。

「これって、コーティング!?」

まさかと思って膜に触れると、プニプニとした弾力のある感触が。

間違いない、コーティングだ。


『恋しいほど、蒼い蒼いこの海。』

いつしか、船の周りは黄金シャボンで覆われていた。

そのひとつひとつが船に当たっては割れ、コーティングの膜を作っていく。

「すごい、すごいよ! モモ!」

黄金のシャボンを呼び寄せる彼女は、まるで魔法使いだ。

興奮するベポの隣で、ローは言葉も失いモモを見入る。

なんて美しいのだろう。

まるでその姿が、妖精のようで…。

こんな綺麗なもの、見たことがない。



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