第7章 昔の女
しばらくして、船は島へと到着した。
「ベポ、ログが溜まるのはどのくらいだ?」
「一週間だよ。」
「そうか、なら最終日まで各自勝手に過ごせ。だが、派手なことは起こすなよ。」
主にシャチとペンギンを見ながら言う。
「それから、船番は交代でやれ。まあ、コイツは数に入れられねェがな…。」
今後はモモを見ながら言う。
残念ながら戦闘力は皆無だし、むしろ狙われる可能性の方が高い。
「…ごめんね、みんな。」
「だいじょーぶ!船の番人は男の仕事ッス!」
「でも、なるべく船にいるようにするから。」
船でひとりなんて可哀想だ。
それなら新鮮な食材を買って、できるだけ快適に過ごしてもらおう。
(ってことは、必然的に船長も船にいるってことッスね。)
ローがモモと誰かを2人きりにするとは思えない。
むしろ邪魔者扱いされそう…。
だとしたら、今回は船で待ちぼうけする時間はあまりなさそうだ。
「ベポ、行ってくるね!」
「アイアイ、行ってらっしゃーい。」
船番のベポを残し、一同は街へと向かった。
「お前、そのカゴはなんだ?」
モモの手には大きなバスケット。
「薬草を入れてあるの。街で少し売ろうと思って。それで新しい種と苗を買おうかな。」
「バカ言うな。そんなことしなくても金ならある、好きなもんを買え。」
ローはそう言って、懐の財布から数万ベリーの札束を差し出した。
(海賊ってお金持ちなのね…。)
そういえば以前、モモのために服を買ってくれたときなど、明らかに量がおかしかった。
おかげでまだ袖を通していない服が山ほどある。
「うーん、いらない。」
「あ?」
「趣味で育てた薬草を、趣味のために使うから、これでいいの。」
ローのお金は船のために使うもの。
自分の欲しいものなどに使ってはいけない。
「薬草って、意外と高く売れるの。だから大丈夫。」
これは意地でも受け取らないな、と察したローは、渋々お金を財布に戻した。
「…とりあえず、メシにするか。」
「「賛成!」」
一行は街の大通りに面した宿屋兼酒場に入った。