• テキストサイズ

セイレーンの歌【ONE PIECE】

第39章 欲しいもの




モモの反応を勘違いしたチャルロスは、むふむふと鼻息荒く、新しい妻の願いを叶えてやろうとする。

「むふーん、おばえを第1妻にしてやりたいが、それは無理だえ。」

「…なに言ってるの?」

だれがあなたなんかの第1妻に…、いや、第100だって妻になるものか。

そんな思いが込み上げるけど、チャルロスはモモのことなど構わず話を続ける。

「わちしの第1妻は、同じ天竜人でなくてはダメだえ。おばえがいくら美しくても、わちしの正室にはなれないのだえ~。」

「そんな事情なんか知らないわ。わたしはあなたの妻にならない。」

なにを勘違いしているのかと言ってやったつもりだが、チャルロスはなにかを思案するようにウーンと悩んだ。


「おばえがそこまで言うのなら、第5から第12妻を下々民に戻してもいいえ。」

「……は?」

この男には言葉が通じないらしい。

いや、捕らわれた他の女性たちを解放してくれるなら、そうしてもらいたいけど。

「おばえを正室にするのは無理だが、安心するえ、特別にわちしの子供を産ませてやるぞえ。」

「--ッ!」

おぞましい発言に言葉を失った。

チャルロスの子供を産むだって?

冗談にしたって笑えないことを投げかけられ、顔が引きつる。


でも、ここで彼に連れて行かれてしまえば、その冗談が冗談にならないことに、今さら気づいた。

あのジャンバールでさえ、長年捕らわれ、奴隷としてモノのように扱われてきたのだ。

例えモモがどれだけ嫌がろうとも、この世界の中では天竜人の言うことはなんでも叶えられる。

チャルロスは気づきもしないのだ。

子供というのは、愛する人と育んだ、愛の結晶なのだということを。

この歪んだ世界で生きる彼には、その結晶が宿ったときの幸福感を、決して味わうことができないんだろう。



/ 1817ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp