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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第38章 シャボン玉の島




正直、シャボンディ諸島へはものすごく興味があった。

ヤルキマン・マングローブのシャボンがどんなふうに活用されているのか、自分の目で見てみたかったのだ。

あれから6年、もう自分の存在なんて政府は忘れたかもしれない。

でも、ローたちの仲間になって、最初の冒険から騒ぎを起こすわけにいかない。

だから今回は、ぐっと我慢しようと決めた。

その代わりコハクに楽しんでもらって、あとからおみやげ話を聞けるだけで、モモは満足できる。


「あった。」

最近ようやく荷物を整理できた自室のクローゼットから、コハクのリュックを取り出す。

もし時間に余裕があったら、薬屋さんに寄ってもらって、珍しい薬草でも買い付けてもらおうかな…。

そんなことを考えながら、みんなを待たせてるデッキへ戻ろうと部屋の外へ出ようとする。


ガチャ…。


「きゃ…ッ!?」

急ぎ足でドアを開けると、部屋の前に誰かが立っていて驚きの声をあげた。

「……ロー。」

壁に寄りかかり、腕を組んでモモを待ち構えていたのは、この船の船長だった。

「…なにしてるの?」

「別に…。」

別にって…。

なにか用事があるからここにいるのではないのか?

まさか、偶然ここにいたってこともないだろう。

(そういえば、ローと口を利くのも久しぶりね。)

あれ以来、無視していたわけじゃないけど、避け続けていたのは事実だ。

同じ船の、それも隣の部屋同士なのに、こうして話をすることも、まともに顔を合わせるのもひどく懐かしい。

このままずっと、気まずくなっていくのだろうか。


(それは、嫌だな。)

昔のような関係が望めないのはわかってる。

でも、同じ船の上で一緒に笑い合えるような、そんな関係になりかたった。

あなたの、仲間になりたい。

そのためならセイレーンの力だって、あなたのために使ってみせるのに…。


今なのかな…。

今、言うべきなのかな。

まだ言うべきじゃないと思ってたけど、言うなら今がいいのかもしれない。

意を決して、モモは口を開いた。



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