第6章 戦いの中で
「あのガキを最初に見つけたのは、俺だ。なあ、小娘。俺を覚えているか?」
アイフリードの目は、しっかりとモモを捉えていた。
『海賊どもめ!俺の娘に近づくな!』
『振り返ってはダメ!走るのよ!』
(お父さん…、お母さん…。)
『お前は今、鳥の傷を治して見せたじゃないか!』
あの日の男を忘れたことなんかない。
ペタリとその場にへたり込んだ。
「モモ! 出てくるなと言っただろうが。…モモ?」
モモはその場を動かない。
ローも彼女のただならぬ様子に気づいたようだ。
「おー、おー、その様子じゃ覚えてるみたいだな。あのガキがこんなに大きくなって…。感慨深いぜ。」
「お前…、コイツのなんなんだ。」
ローの目には先ほどの比ではないくらいの殺意が宿っている。
「なぁに、ただの顔見知りさ。まあ、そいつの親は2人とも俺が殺してやったが、そのくらいか?」
笑いながら、いとも簡単に言ってのけた。
「え!? モモの両親を殺した…?」
「ああそうだ。そうそう、そういえばお前の母ちゃんもセイレーンだったんだってな。後から知ったけど、あれはもったいないことをした。知っていれば2人仲良く捕まえてやれたのに…。」
ツウっとモモの瞳から涙が一筋流れた。
「もういい…、なにも喋るな。てめェがクズ野郎でぶっ殺さなくちゃいけねェ男だってのはよくわかった。」
スラリと鞘から鬼哭を抜く。
「行くぞ、野郎ども。」
「「…おう!」」
「交渉決裂ってか? 仕方ない、お前ら、略奪しろ!」
「「ヘイ、船長!」」
海賊vs.海賊の戦いが始まった。
“アンピュテート”
目にも止まらぬ速さで、船に乗り込んでくる敵を次々と切り裂く。
「ぎゃああぁ!俺の身体が!」
ローの強さは折り紙付きだ。
格が違うというもの。
「アイアイ! モモを泣かせるヤツは許さないよ!」
ベポはクマらしからぬ素早い動きで拳法を使いこなし、クマらしい怪力で敵を沈めていった。
シャチもペンギンも、幾戦を生き抜いてきた猛者たちだ。
そう簡単に後れをとったりしない。