第38章 シャボン玉の島
「…お前ら、あくまでもコーティング目的だってことを忘れんじゃねェぞ。」
島発見の知らせを聞いて、ようやくローが自室から出てきた。
「あ、ロー。」
「……!」
振り向くコハクが彼を呼び、モモは自然と顔をしかめてしまう。
「えー、ちょっとくらい遊んだっていいじゃないですか。…ねえ、モモ?」
雰囲気を察してシャチが間に入り、話を繋ぐ。
「そうね。」
しかしモモはそれだけシャチに応えると、1度もローを振り向くことなく、ぷいとその場から離れた。
「……。」
2人の間を取り持つことに失敗し、沈黙だけが残って痛い。
「船長、モモになんかしたんスか?」
その沈黙を破ったのは、勇者ペンギン。
この1週間、2人の態度を見て なにかあったんだろうなぁ…とは思いつつもシャチもベポもジャンバールも誰もなにも聞けなかった。
「……別に。」
しかし、核心を突いたペンギンの問いにもローはたいした理由を言わず、そのまま踵を返して自室に戻ってしまった。
「……。」
残されたデッキに、再び沈黙だけが残った。
「…コハク、モモからなにも聞いてないのか?」
ジャンバールの問いに、コハクはふるふると首を振る。
「ローと同じ。なんもないって言うんだよね。」
「なんもなくてあの雰囲気だったら、俺らがツライわ。」
確かに、ここ最近のローとモモが醸し出す刺々しい空気は、周囲にいろいろと影響が出る。
「コハク、なんとかできるのはお前だけだぜ。」
自分たちがヘタに手を出そうものなら、悪化させる可能性が高い。
ここは彼に頑張ってもらわないと。
「んー…、わかった。ちょっと行ってくる。」
ガシガシと頭を掻いて、コハクはひとり、モモの後を追った。