• テキストサイズ

セイレーンの歌【ONE PIECE】

第38章 シャボン玉の島




目まぐるしく心の中を侵略する感情。

それが色欲の感情なのかといえば、少し違う。

確かに、未だかつて感じたことのない欲情を持て余し、たびたび彼女にぶつけてしまうけど、これが本当にしたかったことかと言えばそうではないのだ。

では、自分はいったいモモになにを求めているのだろう。


『あッ、見て! …流れ星!』

ふとあの夜、薬草畑で見た彼女の笑顔を思い出した。

流れ星なんかより、よほど眩しかったあの笑顔。

あれ以来、あの笑顔咲かせるモモを見たことがない。

戸惑ったり、困らせたり、そんな顔ばかり。

それもそのはず。
ローがそうさせているのだから。

でも、あの時自分は思ったじゃないか。

珍しい薬草でも、豊富な知識でもなく、星に喜ぶモモが欲しい…と。

そう、それは今も変わらない。

優秀な薬剤師でも、情を交わす愛人でもなく、輝く笑顔のモモが欲しい。

彼女に求めているのは、ただそれだけのはずなのに。


身を屈ませ、そっとモモの唇に柔らかな口づけを落とした。

こうして手を伸ばせば、彼女の身体も唇も手に入れられるのに、1番欲しいものだけが手に入らない。

どうしたら手に入れられるのかも、わからない。

女に興味がなかった。

笑わせようとか、喜ばそうとか考えたこともない。

誰かを笑わせるには、いったいどうしたらいい…?


明確な答えすら出せないまま、ローは熱くたぎる欲望を、モモの脚に爆ぜさせた。



/ 1817ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp