第38章 シャボン玉の島
「わたし、あなたの愛人になるためにこの船に乗ったわけじゃないわ。」
「……。」
ハッキリと拒絶の意を示して睨めば、ローが少しだけたじろいだ。
ローとしても、モモを愛人にするつもりなどないのだろう。
「チッ…。」
舌打ちを吐くと押しつけていた腰を引いた。
良かった、わかってもらえたみたい。
ホッと息をつくのも束の間、脚に触れていたローの手がスルリと太股をつたう。
「わかった。…挿れなきゃいいんだな。なら、それでもいい。少し協力してもらうぞ。」
「……はい? って、……きゃあ!」
スカートを捲り上げられ、誰の目にもふれるはずのない柔肌が露わになる。
全然わかってないじゃない!
モモが言っているのは、挿れる挿れないとかいう問題じゃない。
それ以前の話だ。
肌を暴くローの手を必死に止めようとしたけど、時すでに遅く、彼の手はモモの下着に触れ、布の隙間から長い指を侵入させた。
「あ…ッ」
ヌルリ…。
ローの指に触れたのは、さっきまで仲間がどうのって偉そうに言っていた女のものと思えないほどの潤い。
なんだよ。
やっぱりお前も、感じてんじゃねェか。
「や、やだ…! 触らないで!」
勝手に下着の中に忍び込んだ手を追い返そうと、慌てて両手を伸ばす。
「…おとなしくしてろ。」
ローは躊躇いなく濡れた秘裂に指を這わせ、ズプリと蜜口へ突き立てた。
「ひ…ぅ…ッ」
身体の中に入り込んできた異物に、腰が震えて引きつった悲鳴を上げてしまう。
そうしている間にも侵入してきた指は休まることなく、中の壁を確かめるようにゆるゆると抜き差しされる。
「あ…ッ、うぅ…あ…ッ」
止めて。
抜いて。
触らないで。
どの言葉も紡ぐことができず、口から出るのはいやらしい喘ぎ声だけ。
「いいのか? でけェ声を出すと、誰か来ちまうぞ…。」
ふふ…と笑いながらローが指摘する。
まるでイタズラをする子供みたいに。
「……ッ!」
慌てて両手を口元に当て、漏れる喘ぎを抑え込んだ。
そうしてしまえば、ローの行為を邪魔することができなくなり、彼の策略にますます嵌まってしまう。
悔しくて涙が滲んだけど、今のモモにはどうすることもできなかった。