第38章 シャボン玉の島
本気で言ってるの…?
何度も言うけど、ここはキッチンだ。
こんなところでナニをしようとしているのかはわからないけど、今すぐ離れて欲しい。
「…わけのわからないことを言わないで。そこをどいて。」
彼のペースに巻き込まれちゃいけない。
テーブルに手を突き、起き上がろうとした。
「どかねェよ。」
「……!」
浮きかけた肩を片手で押され、再びテーブルに戻される。
もう片方の手がモモの白い脚を撫で上げる。
温かな手の感触にゾワリと震えが走り、上擦った声が出そうになるのを必死で堪えた。
「…止めて。わたしたち、仲間なんじゃないの?」
ローのしていることは、仲間の範疇を越えている。
仲間は、身体を重ねたりしない。
「言っておくが、先に仕掛けたのはお前だ。責任をとるのが筋だろ。」
そう言ってローはジーンズの下で熱くたぎる彼自身をモモの太股に押し当て、自分の中に燃える情欲を強調させた。
責任って…。
ローがいつどこで そんな気分になったのかはまったく理解できないが、彼がそう言う以上、確かにモモに原因の一部はあるのだろう。
でもだからって、以前のように口で慰めたりしようとは思えなかった。
だって、それをしてしまったら、わたしは仲間じゃなくなると思う。
いくら船長とクルーとで上下関係が存在していても、身体の繋がりをもってしまえば、それはただの愛人のようではないか。
かつて、わたしたちは恋人同士だった。
でも今は、彼の中にそんな想いは存在しない。
深く眠った記憶は2度と、目覚めることはないのだから…。
ローの愛人になるくらいだったら、わたしは今すぐこの船を降りる。