第38章 シャボン玉の島
わかってるように言うくせに、実はまったくわかっていないモモに、ローは少し苛つきを覚える。
キッチンでもいい、だと?
バカ言うんじゃねェよ。
そんな誰でも入れるところで無防備な姿を晒してみろ。
禁欲生活に忍ぶアイツらが、もし万が一にも変な気を起こしたらどうする。
ローのものには絶対に手を出さない仲間たちだが、狭い船の中、なにが起こるかなんてわからない。
例えばもし、寝ているモモに仲間の誰かが襲いかかったなら?
ローの心の中で、激しい炎が燃え上がった。
そんな現場を目にしたら、たぶんソイツを半殺しにするだけじゃ済まない。
例え大切な仲間であっても、モモに手を出すことは許さない。
だから、そんなことが絶対に起こらないように、モモにはローの目の届く場所にいてもらわないと困るのだ。
自分と仲間のためにも。
「ああ、いいことを思いついた。」
「……なに?」
なにか打開策でも見つけたのだろうか。
それにしては、今一瞬、ローの瞳が怪しく光ったような気がしたけど…。
「俺の部屋が空いてる。お前がこっちに来ればいいんじゃねェか?」
そうすればモモが気に病むこともないし、ローの心配も減るというもの。
最初は冗談のつもりだったが、口にしてみると意外に悪くない提案だ。
…だだし、ローにとってはだけど。
「ぜったい無理ッ。こ、この部屋でいいから! ううん、この部屋がいい!」
全力で拒絶され、彼女をこの部屋に住まわすことには成功したけど、それはそれでムカついた。
「……チッ。」
まあ、いいさ。
どのみち、この部屋は…。