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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第38章 シャボン玉の島




「コハク…。」

いつの間に、こんなに成長したんだろう。

モモが知らないうちに、コハクはどんどん大人になっていく。

感動に胸が震えた。


「そこまで言うなら止めやしねェよ。好きにしな。」

ローもコハクの気持ちを尊重してくれて、無理にこの部屋に留めておこうとはしなかった。

「なら、大部屋のことはジャンバールにでも聞いたらいい。」

大部屋で寝起きしないローには、彼らのルールはわからない。

あとはアイツらに任せた方がいいだろう。

「おう。サンキュー、ロー!」

あんな汚い部屋で寝起きすることの なにがそんなに嬉しいのか、コハクは満面の笑みで駆けていく。


部屋に取り残されたモモは、改めて部屋を見渡す。

「あの、コハクが大部屋に行くのなら、この部屋はわたしには広すぎるわ。もう少し小さな部屋はないの?」

自分ひとりで使うには、申し訳ないほど広い。

寝起きできるようであれば、それこそ倉庫のような場所だってモモは構わない。

「ねェな。ここはもともと俺の作業部屋だった。この部屋以外に空いてる無駄なスペースなんか存在しない。」

それもそうか。
ここは船の中なのだ。

限りある船内に、空いてる場所があるという方が珍しい。

それなのにローは、わざわざモモたちのために自分の作業部屋を削ってまで居場所を用意してくれたのだ。

そのことは素直に嬉しいし、感謝したい。

でも、ただのクルーであるモモが広い部屋を独占するのにはどうしたって抵抗がある。


「それともなにか? お前もアイツらと一緒に大部屋で寝起きしてェのか。」

「まさか!」

さすがのモモだって、そんなことは思っていない。

いくら魅力のない自分であっても、性別が異なるだけで、彼らに余計な気を遣わせてしまうだろう。

「そんなんじゃなくて、わたしは寝起きできればキッチンでだって大丈夫ってことを言いたいのよ。」

貴重なスペースを自分のために使わなくていい。
そう言いたいだけ。



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