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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第37章 冒険の海へ




「で、でも…、わたし…。」

本当にここにいていいのか。

その答えが出なくて、どうしていいかわからない。

「しつけェな、お前は…。」

ローの手のひらが、溢れる涙を乱暴に拭った。
その手の温かさに、心が震える。

「いいか、お前に拒否権なんかねェんだよ。」

「え…?」

それは、どこかで聞いた言葉だった。


『言っておくが、お前に拒否権はねェ。俺は欲しいと思ったもんは必ず手に入れる。』


まだローと出会ったばかりの頃。

それこそ出会って数日の話。

6年前、彼は今と同じようにそう言ったのだ。

あの時、絶対にそんなことになるもんか!
そう思ったのに、結局は無駄だった。

魅力的な彼に、どうしたって惹かれずにいられない。

そして今もまた…。


「お前は俺に…ハートの海賊団に攫われたんだ。絶対に逃がしてやらねェから、諦めてここにいな。」

どこの世界に、そんな勧誘をする海賊がいるだろう。


「ついでにホラ、人質もいる。」

ローは足下のコハクを指さした。

「誰が人質だ、てめー!」

「ふん…。コイツを立派な医者にして欲しけりゃ、俺たちと一緒にいることだな。」

「そうだよ、モモ。それにほら、もう島からずいぶん離れちゃったし、戻れないよ…?」

ベポが小さくなっていくシルフガーデンを指した。


本当だ、あんなに離れてたら…もう戻れないね。

ねえ、そういうことにしてもいい?

わたしはズルイから、そんな理由がないと、あなたたちと一緒にいられないの。


わたしの罪を許さないで。

でも、みんなと一緒にいることは許して。

ワガママでズルイ女でごめんなさい。

その代わり、今度こそ、約束するから。

いつまでも、ずっと、みんなの力になるって。



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