第37章 冒険の海へ
「ちょ、ちょっと…ッ、これって…どういう…!?」
状況がさっぱりわからない。
誰か、説明して欲しい。
目をぐるぐると回すモモに、ローはくすりと笑った。
「お前は俺に言ったな。コハクを海に連れ出し、医者にして欲しいと。」
「え…。い、言ったわ。」
それはローがなんでも叶えてくれると言ってくれたときの、モモのずうずうしい願い。
「仲間の命を助けてもらったんだ。それくらい叶えてやるのはなんてことねェ。」
「う、うん…。」
あなたはわたしの願いを叶えてくれた。
だからコハクは旅立つのでしょう?
そんなことはわかってる。
でも、モモが聞きたいのはそんなことじゃない。
どうして自分が今、この船の上にいるのかってこと。
モモの問いに答えるように、ローは再び口を開く。
「お前は俺たちにとって恩人だが、それはコハクも同じことだとは思わねェか?」
「え…?」
確かに、ローをモモのところへ連れてきたのはコハクだ。
コハクがいなければ、ローはモモのところへたどり着けず、自分たちは出会うこともなかったかもしれない。
「だから、同じようにコハクの願いを叶えてやるのも当然だろう…?」
「それは…、でも…、え…?」
つまり、なに?
コハクの願いっていうのは…。
「コイツは俺に“お前を島から連れ出して欲しい”と願った。だから俺はそれを叶えてやる。」
「……えッ!!」
驚いてコハクを見ると、彼はイタズラっぽくニカリと笑った。
ちょっと待って、でも、わたしは…。