第37章 冒険の海へ
「え……。」
ぶわりと大きなドーム型のサークルが広がる。
久しぶりに見るけれど、モモのよく知った能力だ。
オペオペの実の基本能力。
このサークルの中は、全てローの手中のようなもの。
でも、なぜ今…?
「え、えっと…?」
ローの行動の意味がわからず、どうしたらいいのかと動揺してしまう。
とりあえずサークル内から出た方がいいのか?
そろりと後ろにあとずさると、船の上のローがクルリと手を回した。
“シャンブルズ”
(え……?)
ふわりと身体が浮いた気がした。
踏みしめていた地面が急になくなり、バランスを崩した身体に慌てふためく。
「きゃ…ッ」
そんなモモの腰を引き寄せ、支える腕がある。
慣れ親しんだ匂いがモモの鼻をくすぐる。
ほのかに消毒液の香りがするお日様の匂い。
この腕にも、匂いにも、覚えがある。
これは…。
「ロー…。」
目を見開けば、間近に彼の姿があった。
「え……。」
もう何度目かわからない動揺の声を再び上げた。
だって、これ、どういう状況…?
目の前のローから視線を外し、ぐるりと見渡せば、モモの周りにはベポ、シャチ、ペンギン、ジャンバール。
そしてコハクとヒスイ。
みんながこちらを見て笑ってる。
さらに遠くを眺めれば、今、自分が海に囲まれていることがわかる。
(ちょっと、待って…。)
あそこに見えるのって、まさかシルフガーデン?
ということは、ここって…。
ローに支えられたまま恐る恐る床に脚をつけると、懐かしい揺れがモモを歓迎した。
波が、風が揺らす船の動き。
ここって、まさか…。
船の上……!?
自覚したとたん、モモの頭を大パニックが襲う。
「ぅええぇえッ!?」
悲鳴にも似た叫び声が、黄色い潜水艦のデッキに響いた。