第37章 冒険の海へ
……ちゅッ。
花びらのように可愛らしい唇が、ローに触れた。
ローの、頬に。
「……したわ。」
思わず閉じていた目を開ければ、どうだとばかりに達成顔をした彼女。
「……。」
「え、なに…?」
確かに、ローは“どこに”キスをしろとは言わなかったけど。
だからと言って、ローの言葉不足を逆手にとったわけでもなく、ましてや照れから頬にしたわけでもない。
ローの出した条件が、ほっぺたにキスで満たされると本気で思ってるモモにため息しか出ない。
「……ハァ。」
「え、なぁに、その反応。あなたがしろって言ったんじゃない。わたしだって恥ずかしいの我慢したんだから…ッ」
ちげェよ、そういうガッカリじゃねェ。
ただ、お前が…。
「あんまりにお子様だから、びっくりしただけだ…。」
「な…ッ!」
モモの頬に、恥辱とは別の朱色が入る。
「ど、どういう意味よ…ッ」
ホラ、そうやってムキになって反発することろとか。
「どうもこうも…。キスってのは、こうやるんだよ。」
「え…? ……んンッ」
首の後ろに手を添えると、ムッと引き結んだ唇を攫うように塞ぐ。
柔らかく甘い感触。
ローが求めていたものは、コレだ。
モモの身体を引き寄せて優しく背中を撫でると、ピクリと反応した彼女が薄く唇を開く。
その一瞬を見逃さず、隙間から舌をねじ込んだ。
「ふぅ…ッ、うぅ…ん。」
侵入してきた舌をに驚き、モモがローの肩をグイグイと押してきたけど、スルリと無視をする。
歯列をなぞり、上顎を舐め上げる。
するとゾワゾワと震えが走ったモモは、簡単に脚の力が抜けてしまう。
ああ…、このまま抱き上げてベッドへ連れて行ってしまいたい。
可愛い反応ばかりみせるモモに、昨夜目覚めたばかりの感情がムクムクと大きくなるばかりだ。