第36章 心に灯る火
椅子に腰掛けたローは、足下で小さく縮こまるモモを見つめていた。
彼女は震える手で、ローのベルトに触れる。
青ざめるモモを、未だ高ぶり続ける熱とは裏腹に、ローは急激に冷たくなっていく気持ちで眺めた。
『口で…するから。』
それは、清純な彼女から発せられるとは思えない提案。
それだけならば、ローはモモに甘い気持ちを向けられたままでいられただろう。
『たがら、それだけは許して…。』
こんな懇願さえ、されなければ…。
俺に触れられるのは、そんなに嫌か…?
考えてみれば、当たり前のこと。
ローはモモの恋人でなければ、友達ですらない。
ただ、数日前に出会っただけの“海賊”なのだから。
当然のことなのに、ローはなぜだか、彼女が自分を拒むことが許せなかった。
モモならば、自分を受け入れてくれる…。
そんな気がしてならなかったから。
しかし、ローにだって、理性というものが かろうじて残っている。
ほとんど吹っ飛んでしまっているが、僅かに残った理性が、彼女の願いを叶えた。
そうしてモモを解放し、今の体勢になったわけだが、大胆な発言をした割に、彼女の手つきは呆れるほど不慣れなものだ。
本当に処女ではないのか? とすら疑いたくなる。
カチャカチャと音を立て、ベルトの留め金が外れた。
続いてズボンの前をくつろがせると、張り詰め続けて苦しみからようやく解放された喜びに、ロー自身が下着から飛び出してきた。
「きゃ……ッ」
目の前に現れた屹立に、小さな悲鳴を上げる。
彼女はこれから何をしようとしているのか、わかっているのだろうか。
こんなことでは、先が思いやられる。