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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第35章 歌とぬくもり




ベッドに横たわるベポは、表情も安らかになり、まるで本当にただ眠っているようだった。

こうしていると、彼らと共に旅をしてきた日々を思い出してしまう。

お昼寝好きの彼は、いつもデッキで惰眠を貪り、仲間たちに仕事をしろって怒られてたっけ。

その度、大きな身体のくせにガラスのハートを持った彼は、ガックリと背中を丸めて落ち込んだものだ。

そしてそんなベポを慰めるのは、モモの役目だった。


ねえ、ベポ。
今は誰が、あなたを慰めてくれるの?


大きなお腹にそっと抱きつくと、あの頃と同じ柔らかさがモモを受け止めてくれる。

…いや、少し痩せただろうか。

きっと、この病のせい。

「ベポ、すぐに元気にしてあげるからね。」

肉球がある手のひらを握り、モモは大きく息を吸い込んだ。

大好きな親友を想い、歌にのせる。

モモとベポ、2人だけの家の中に癒しの歌が流れ始める。





“カウンターショック”

バリバリ…!

強力な電流が、ドラゴンと見まがうほどの巨大なトカゲの身体を貫いた。

ドシーン!

大きな砂ぼこりを上げ、巨大トカゲは失神した。

「えッ、なに? 今の、なに!?」

ローについて回り、今の狩りを見ていたコハクは、巨大なエモノよりもローの能力に驚いた。

「ただの悪魔の実の能力だ。騒ぐほどのモンじゃねェよ。」

「悪魔の実の能力!? すげェ、初めて見た! なァ、もっとやってよ。」

「見せもんじゃねェんだよ。」

倒したトカゲの尾を掴み、ズルズルと引きずって家路を戻る。

「ケチケチすんなよ。なぁ、もっとやって!」

ああ、面倒くせェ…。

なんだってコイツは俺について来たんだ。

シャチでもペンギンでも、ジャンバールは難しそうだが…子供の扱いに慣れたヤツについて行けば良かったのに。

ガキの相手なんかしてられるか。
激しいおねだり攻撃に疲れ、ハァ…とため息が零れる。



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