第34章 起きて見る夢
急に飛び出してきたコハクの存在に、モモは戸惑った。
どうしてコハクはローのことを知っているんだろう。
知ってるはずがない。
ローに関する話はしていないし、新聞の記事だって見せていないのに。
「おい、コハク。急に走り出してどうしたんだよ…って、アレ?」
「船長、こんなところでなにしてんスか? てゆうか、これってどういう状況?」
コハクの後に続いてやってきたシャチとペンギンは、へたり込むモモと それを追い詰めるロー。
そしてローを威嚇するコハクの3人の状況を理解できなくて、目を白黒させる。
(シャチ…、ペンギン…!)
ああ、これは夢か。
モモがかつて愛した人たちが今、自分の目の前にいる。
(ベポ…は…?)
欲の出た心が、つい親友の姿を探してしまう。
「コイツ、約束破って母さんに手を出したんだ! 許せねー。」
コハクの言葉に、モモは正気を取り戻した。
イヤ、手は出されていないのだけど。
「母さんって、お前…どこにいるんだよ…。…え、母さん? ええッ、母さん…!?」
チラリとモモの顔を見たシャチが、2度見、3度見する。
この反応、すごく懐かしい。
本当なんだ…。
今、本当に…夢じゃないんだ…。
胸が熱くなって、再び涙が溢れそう。
「約束も守れないヤツは、オレがぶっ飛ばしてやる!」
って感傷に浸っている場合じゃない。
勘違いしたコハクが再びローに飛びかかる。