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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第33章 再会の指針




仲間の、ため…。

さっき、ペンギンは言った。
仲間の病気を治すために、リリアスが必要なのだと。

嘘だと思った。
だって、リリアスはクマの伝染病を治す特効薬だから。

でも…。

(嘘じゃ…、ないのか…?)

コハクはわからなくなっていた。


「俺たちは海賊だが、別にお前らの家に興味はねェよ。リリアスさえ見つかれば、すぐに出て行く。」

そう言って、ローたちは森の奥へと足を向け始めた。

だから…、リリアスはまだ生えてないんだってば。

でも、どれだけコハクが彼らに訴えたとて、諦めることはないだろう。

(仲間…。仲間の…ため。)

なぜだろう、ローの言葉が頭を離れない。

「きゅ…、きゅきゅぅ。」

足元でヒスイが「これで本当にいいのか?」と尋ねてくる。

ヒスイはコハクの夢を知っているのだ。

それは、コハクとヒスイ、2人だけの秘密。


(ダメだ…。)

そんなことをしてはいけない。
ふと今 頭をよぎった考えに、母を想う自分が警鐘を鳴らす。


(ダメだ…。)

でも…、ここで彼らを見捨てれば、コハクは一生、自分の夢に顔向けできない。


(ちくしょう…、オレの…バカ野郎!)

今、自分が選んだ道は、自分とモモを危険に晒してしまうかもしれない。

それでも、愚かにも選ばずにはいられないのだ。

もしこの選択が間違いだったなら、必ず自分が責任をとる…!

決意を込めて、ギリリと拳を握りしめる。


「……待てよ!」


「なんだ、まだなにか用か?」

いい加減、お前の相手をしてられない…とローがこちらを振り返る。

いちいちムカつくヤローだな。

でも決めたんだ。
オレは自分の見る目をなにより信じてる…!


「リリアス、あるよ。」


「……あ?」

さっきはないと言ったくせに、急に手のひらを返したコハクに、ローは眉をひそめた。


「オレの…、母さんが持ってる。」




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