• テキストサイズ

セイレーンの歌【ONE PIECE】

第33章 再会の指針




(くそォ…!)

コハクが頑張って作ったトラップの数々も、彼らにとっては遊具のようなものだった。

3度に渡って仕掛けてみたけど、結局今も彼らの足を止められないまま。

すっかりネタ切れになってしまい、打つ手がなくなる。

「こうなったら、オレたちが止めるしかないぞ、ヒスイ。」

「きゅ…きゅきゅ。」

ヒスイを頭の上に乗せ、愛用の木刀を握りながら、コハクは気配を殺してソロソロと彼らのすぐ上の樹へと移動した。

すると、海賊たちの話声が聞こえてくる。


「どうやら、向こうは俺たちに先へ進んで欲しくないらしい。それなら前へ進んでみりゃァ、おのずと姿を見せるかもしれねェな。」

プチン…。

頭の中で、糸が切れる音がした。

「それ以上、先に進むんじゃねぇ! 海賊野郎!!」

ダンッと幹を蹴り、リーダーの男へと向かって木刀を振り下ろした。


ガシ…!

しかし、コハクの剣が振り下ろされる前に、彼の逞しい長い腕がコハクの首根っこを掴んだ。

「……ッ! くそ、離しやがれ!」

ジタバタともがき暴れるけど、腹立たしいことに腕はピクリとも動かない。




「まさかとは思うが、さっきから俺たちに付きまとっていたのは…お前か?」

子供騙しな罠だとは思ったが、本当に子供だとは…。

「…だったらなんなんだよ! さっさと島から出ていけ、海賊!」

突然頭上から降ってわいた子供は、必死にローを蹴り上げようと足を振り回す。

(捕まえてやろうとは思ったが、まさかこんなガキとは…。)

とりあえず 蹴りが当たらないように、少し距離を遠ざけたその時…。


「きゅきゅーッ!!」

子供の頭上にへばりついていた“なにか”がローの顔面にベチャリとくっついた。

「……!?」

驚いて思わず手を離すと、持ち上げていた2メートル程の高さから、子供がドサッと落下した。



/ 1817ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp