第33章 再会の指針
「だァーッ、もう…鬱陶しい!!」
シャチの堪忍袋の緒が切れた。
ちなみに、もう3度目だ。
落とし穴から始まったかと思えば、いきなり大きな丸太がゴロゴロと転がってきたり、続いて数個の蜂の巣が落ちてきた。
それらの犠牲者は決まってシャチ。
ペンギンは転がってきた丸太を蹴飛ばし、飛んできた蜂は覇気で追っ払った。
ローはと言えば、丸太が転がってこない場所を瞬時に見抜き、涼しい顔で何事もなかったように歩いた。
次の蜂攻撃には、なにもしていないのに襲われなかった。
さすがの蜂様も命は惜しいらしい。
「マジでぶっ飛ばしてやる! 船長、本当に誰かいるんだよな!?」
「ああ。」
蜂に刺されまくり、キーキーと怒り狂うシャチに、ローはうるさそうに肯定した。
「まぁ、ぶっ飛ばす云々は置いといて…。誰かいるなら、リリアスのことを聞いてみるのも手じゃないッスか?」
「……。」
ペンギンの提案に、一理あると思った。
何者かは知らないが、もしこの島に詳しい者なら、捕まえて情報を聞き出すのも悪くない。
なにしろ、自分たちには時間がないのだ。
「そうだな…。どうやら、向こうもネタ切れらしい。」
初めは隠れるような視線だったが、今はビンビンと敵意を感じる。
罠が切れて、苛立っている証拠だ。
「どうやら、向こうは俺たちに先へ進んで欲しくないらしい。それなら前へ進んでみりゃァ、おのずと姿を見せるかもしれねェな。」
フフ…と笑みを零し、わざと大股で進んでみせた。
その時…--。
「それ以上、先に進むんじゃねぇ! 海賊野郎!!」
ガサリと音を立て、なにかが頭上へと降ってきた。