第33章 再会の指針
「赤い葉っぱ…、赤い葉っぱ…。ねぇなァ。ちくしょう、本当にあるのかよ!」
さっきから目を皿のようにして探しているけど、赤い葉っぱどころか、赤い色すら見つけられない。
「シャチ、赤じゃなくて薄紅色ッスよ。」
赤、赤、としきりに呟くシャチに、ペンギンが訂正を入れる。
「うっせーな、わかってるよ…!」
長時間の探し物に気が立ち、イライラと先へ進んだ。
「……シャチ。」
「船長まで、なんすか!?」
「ソコを踏むな。」
「…え?」
ソコってドコ? と思った瞬間にはもう遅い。
踏みしめたはずの地面は、スボッとシャチの足を飲み込み、ドシャリと音を立てて崩れ去った。
「うわあぁァ…!!」
胃の浮くような浮遊感に襲われ、絶叫する。
と思ったら、今度は思いっきり尻を強打した。
「ぐへ…ッ!」
「…生きているか?」
上の方から、ローの声が聞こえる。
とても心配しているとは思えない。
「痛てて…、一応。なんだよ…これッ」
「落とし穴だな。」
「はァ…!?」
ローの冷静な分析に、声を荒げずにいられない。
落とし穴って…。
そんなものがどうして無人島に!
「…早く上がってこい。」
「はい…。…って、起き上がれねぇ!うぇッ、なんかベタベタする!」
どうやら落とし穴の中には、粘着性の強い植物が敷き詰められていて、シャチの身動きを封じている。
「せ、船長~! 助けて~!」
「ハァ…。」
穴の底から泣きわめく部下に、ローはため息を吐かずにいられない。
“ROOM”
“シャンブルズ”
傍らの小石と穴に落ちたシャチが、パッと入れ替わる。
「はぁ、はぁ、…ちくしょー、俺のツナギが…!」
ハートの海賊団の制服でもあるツナギが、ベタベタした植物で台無しになってしまった。
「ちゃんと下見て歩かないからッスよ。」
「そういう問題じゃねぇだろ! 普通無人島に落とし穴があるか!?」
ちょっとズレた注意をするペンギンに、シャチはキーッと癇癪を起こす。
「うるせェな。だから俺は待てと言っただろうが。」
それを無視してズカズカ進むシャチが悪い。
「だが、お前の言うとおり…ここは無人島じゃねェみたいだな。」
「え…?」
植物をひとつずつ取り除きながら、どういうことかと聞き返す。
「この島にゃァ、誰かいる。」