第32章 流れゆく時代
…それから、さらに数週間後。
ドレスローザにて。
ローとルフィ、そしてドフラミンゴの決戦は熾烈なものと化していた。
「消えるのはお前だ…ドフラミンゴ!!」
“ガンマナイフ”
ローの決死の一撃が、ドフラミンゴの内臓を貫く。
「ぐおあァァーーッ」
身体の内部から破壊され、ドフラミンゴは吐血しながら身悶えた。
「あの日、死ぬべきなのはお前だった! …くたばれ、悪魔野郎ッ!」
ローの脳裏に、あの日のミニオン島が蘇る。
何度も、何度も何度も…!
どれだけこの日を待ちわびたことか!
繰り返し見た夢は、もう終わりだ。
お前を倒して、俺は新たな夢を追う!
しかし、ドフラミンゴの強さはローの想像を遥かに越えた。
「自爆ご苦労…、せめて息の根くらい止めてやるよ…!」
イトイトの能力を駆使し、復活を遂げたドフラミンゴの一撃がローを襲う。
「…くそォ!!」
ちくしょう、俺はまたダメだったのか。
また…。
また…?
深い絶望。
以前にも、自分はこんなふうに絶望してはいなかっただろうか。
ドフラミンゴの脚が、ローの頭部を踏み潰そうとした…その時。
ドン…!!
モンキー・D・ルフィとドフラミンゴの覇王色の覇気が衝突し、大気を揺るがした。
「お前はなんでもかんでも手の中に閉じ込めて…、どいつもこいつも操ろうとするから、おれは息が詰まりそうだ!!」
「お前ら人間と俺は違う!!」
どこが違う。
お前はただの人間だ。
昔、誰かが言っていた。
【例えば、お腹がすいたとき。おにぎりを半分こして食べたら、美味しいって思う気持ち。
それから、天気の良い日にする日向ぼっこの心地よさ。
一緒に探検したときの、ドキドキワクワク。
そこに種族はありますか?】
「お前をブッ飛ばして、おれは出ていく!」
ルフィの叫びが、ローの心の叫びと重なり合った。
“ゴムゴムの大猿王銃”
ドカァン!!
ローとルフィの信念の一撃は、ドフラミンゴへ重く重くのしかかり、ついに彼を打ち砕いた。
(……コラさん!)
彼があの日 引けなかった引き金は、ローとルフィによって、ようやく引くことができた。
『海賊同盟、天夜叉ドフラミンゴを討つ!』
この日、号外とも呼べるビッグニュースは、瞬く間に世界中へと広まった。