第32章 流れゆく時代
…そして、6年後。
パンクハザードにて。
ローの目の前には、季節感などまるで無視した麦わら帽子を被った男がいる。
思えば、この男と自分はよほど縁があるらしい。
2年前、シャボンティ諸島で顔を合わせてから、こうして再開するのは2度目のこと。
1度目は、あの“頂上戦争”にて瀕死の彼をジンベエと共に気まぐれで助け、女ヶ島に連れて行ってやった。
そして、2度目は今日…この時。
なかなか思い通りにいかない計画中に、新風のように現れた。
運命なんて言葉は好きじゃないが、このタイミングで現れたことに、自分と彼との間に なにか見えざるものがあると感じずにはいられない。
組むなら、この男がいい…。
ローは自分の見る目をなにより信じてる。
「麦わら屋…、ウチと同盟を結べ!」
同盟…? と麦わら屋は…いや、モンキー・D・ルフィは聞き返した。
「ああ。お前と俺が組めば、やれるかもしれねェ。」
なにしろコイツはあの海底監獄インペルダウンから“兄”を救うため、戦争を起こした男だ。
そして、ローがこれから起こすことも、戦争だと言わざるを得ない。
なぜならば、ローは王下七武海ドンキホーテ・ドフラミンゴと あの“四皇”とを争わせようとしている。
「四皇をひとり…引きずり下ろす策がある。」
「ふーん。よし…、やろう!」
たいして悩んだ様子もなく、ルフィはあっけらかんと返事をした。
「ちょっとォ! ルフィ、本気!? こんなヤツ、信用できないわよ!!」
彼の仲間が騒ぎ立てる。
コレが普通の反応だろう。
その反応を見て、ローは少し懐かしく思う。
自分の仲間も、このくらい騒がしい連中だからだ。
この数ヶ月、ローは計画を実行するため、単独で動いている。
危険が伴うこの計画に、表立って仲間を巻き込むわけにはいかない。
そもそもこの計画自体、ローのケジメのようなものなのだから。
(これで、手札は揃ったな。…見てろ、ドフラミンゴ。笑っていられるのも今のうちだ…!)
こうして、ハートの海賊団と麦わらの一味は同盟を結び、反撃の一矢を放つこととなる。