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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第32章 流れゆく時代




「ハァ…、つまらねェ。オイ、行くぞ。」

殺伐とした空気がすっかり消え失せ、興を削がれたローは、仲間たちを引き連れ、その場を立ち去ろうとする。

(そういえば、この町には“人間オークション”って趣味の悪いものがあったな。)

その名の通り、人間が人間を買うための人身売買所。

人間を売り買いするクズ共には興味はないけど、どんなものか見物してみるのも悪くない。

もしかしたら、掘り出し物が見つかるかもしれないし…。

そう思って歩き出すと、突然 後ろから声を掛けられた。


「…トラファルガー・ロー。」

「……?」

呼ばれて振り返ると、背の高い陰湿そうな男がこちらへ近づいてきた。

この男は確か…。

「…久しぶりだな。」

「…あ?」

なんの話だ、と思った。

こっちはお前なんかに会ったことは……イヤ、ある。

そうだ、俺はコイツに会ったことがある。

この男“魔術師”バジル・ホーキンスに。


どうして忘れていたのだろう。

イヤ、記憶に残らないほど薄い付き合いだったから仕方ない。

そう、ホーキンスとは数年前にウォーターセブンで少し顔を合わせただけのこと。

「…ひとりか?」

「…イヤ。」

目線を仲間の方へ向け、ホーキンスの問いに答えた。

仲間たちの姿を確認し、その場にモモの姿を探す。

「彼女はどうした?」

「彼女…?」

言ってる意味がわからない、と首を傾げるローに、ホーキンスは目を見開いた。

あれほど傍に置いて離さなかったモモに対して、その反応はどう見たっておかしい。

「まさか…、覚えていないのか。」

そうとしか考えられない。

「だから、なんのことだ。」

本気で覚えていなさそうな様子に、信じられない気持ちでいっぱいになる。



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