第32章 流れゆく時代
…4年後。
シャボンティ諸島。
「船長、知ってます? 今、この島に“11人の超新星”が集結してるんですって!」
「…なんだ、その11人の超新星ってのは。」
だせェ名前だ。
ねえねえ、と興奮気味に語りだすシャチに尋ねる。
「今この島にいる億越えのルーキーをそう称して呼ぶんですよ。当然、船長も含まれてますよ!」
この数年でローの懸賞金は上昇を続け、今では2億の額が付いている。
…どうでもいい話だ。
「興味ねェな…。」
「え、ウソ。けっこうビッグニュースなのに…。」
本気で興味のなさそうなローに、シャチはどうにかして興味を持ってもらおうと、さらなる情報を与える。
「でも船長、懸賞金の額だけで言えば、船長よりも上の連中がいるんですよ。…まァ、戦闘になりゃ船長が1番強いに決まってますけど。」
「当然だ。」
懸賞金の額など、政府が勝手に決めた額。
額の高さがそのまま強さに繋がるというわけでないことを、幾戦の経験からローはとっくに知っている。
「でも、キャプテン。キャプテンより高い額の海賊、ちょっと興味ない?」
「……。」
面倒な諍いは起こすつもりはないが、いずれ海で出会うこともあるかもしれない。
(知っておくだけ、損はねェ…か。)
ローは太刀を手に、立ち上がった。
「お…! 船長、行くんですね!?」
キャッキャッとはしゃぐシャチにイラッとする。
「うるせェ…、散歩だ。」
「え、待ってよキャプテーン!」
フンと鼻を鳴らし、島の中心部へと向かうローの後を、2人の男と1匹のクマが追いかけた。