第5章 あなたになら
「声が、聞きてェ…。」
そう言うと同時に、蜜壺から濡れた指を引き抜くと、蕾を探り摘まみ上げた。
「───ッ!」
目の前が白くなるほどの快感が突き抜け、身体を弓なりにしならせると、そのまま意識を手放した。
クタリと意識を失ったモモの髪を優しく撫でた。
ローは医者だ。
だからモモの声帯になんの異常もないことも知っている。
彼女が言葉を話せないのは、おそらく精神的なものだ。
海軍に追われている理由もその辺りにあるだろう。
モモが話したくないのなら、無理に聞くつもりはない。
けど、どうしても彼女の声が聞きたい。
こうして激しく快感を与えれば、一言くらい声を上げるかとも期待したが、結局モモが話すことも喘ぐこともなかった。
モモを抱き上げ、ベッドに運ぶ。
そのままロー自身も横になった。
「まあ、焦る必要はねェ、か。」
モモを抱き寄せながら、その愛らしい唇を啄む。
ローはキスが嫌いだ。
でもモモを見てると、何度でも口付けたくなるし、口内をまさぐりたくなる。
(こんなガキに、俺はやられちまってるってことか…。)
自分がこんなにも夢中になるなんて…。
でも嫌な気分じゃない。むしろ、ずっと傍で守りたいと思う。
(俺が守ってやる…。だから…--)
声を聞かせろ。
彼女の言葉が聞きたい。
自分の名前を呼んで欲しい。
ローの中で、欲求が次々と湧いてくる。
(だが、とりあえず今は…。)
ふう、と大きく息を吐く。
(この欲求を鎮めるのが先だな…。)
ローは痛いほど屹立した己自身を見る。
少し調子に乗りすぎた。
「チッ…、次は容赦しねェから覚悟しとけよ。」
ローは安らかに眠るモモを少しだけ恨みがましく見ると、その腕に抱き寄せ、共に目を瞑った。