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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第30章 宝よ眠れ




「もう、いい。黙れ…。」

モモの叫びを聞いても、ローの気持ちは変わらなかった。

変わるはずがない。


彼女の言うことは正しい。

ここで彼女を置いていくのが“正解”なのだろう。

けど、その代わり自分はなにを失う?

愛する人か。

前を向く力か。

いいや、なにもかもだ。


「最初に言ったよな…。お前は俺のモンだと。そこにお前の意思は関係ねェと…。」

その言葉に、嘘偽りはない。

「一生逃がさねェとも言ったはずだ…。」

スラリ、と鬼哭を鞘から抜いた。

「これ以上、ぐだぐだと言うつもりなら…その足をぶった切っても連れて行く…!」

ローの目に、ギラリと狂気の光が宿る。


「キャプテン…! モモを傷つける気!?」

「船長、それはやり過ぎッス!」

「モモもホラ…、2人とも落ち着けよ!」

それまで黙って見守っていた仲間たちが一斉に止めに入る。

「邪魔だ…、どけ!」

彼らを乱暴に振り払うと、手のひらを広げた。


“ROOM”

ドーム状のサークルが全員を包み込む。

ローは本気だ。


しかし、モモは身じろぎもせず、悲しげに口を開く。

「ロー、みんな…ごめんなさい…。」

「謝罪は必要ねェと言ったはずだ。」

チャキ…と音を立てて、刃が光る。


ううん、違うの。

「わたしを絶対…、許さないで。」

「なんだと…?」


ごめんなさい。

わたしは最低な女だから、みんなから大事なものを奪うの。

「わたしがいたら、あなたは前を向けない…。夢を叶えてくれない…。」

あなたを変えてしまうくらいなら、わたしはいなくていい。


「だから…ッ! …もう、…忘れて…ッ!」


泣かないって決めたはずなのに、涙が溢れてしまった。



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