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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第30章 宝よ眠れ




「たかが指輪くらいで、なに言ってんだ。バァさんか、お前は。」

永遠だなんて大げさな…。

ため息混じりでそう言うけど、モモはそれが照れているだけって知っている。

肩を抱いたまま、さり気なく夜風からモモを庇ってくれているローに、そのまま寄りかかった。

「だって本当のことだもの。…でも、わたしはちゃんと返せていなくてごめんなさい。」

いつも与えてもらうばかりで、まだなにも返せていない。


「…バカか。そう思ってんのはお前だけだ。」

それはこちらのセリフだから。

モモがローにくれたものは、指輪程度じゃ比較にすらならない。

誰かを愛するという気持ちをくれた。

愛する幸せというものをくれた。


世界で1番大切な、宝をくれた。


自分の方こそ、まだなにも返せていない。
だからこれから、長い時間をかけて、ゆっくりと返していこう。


「お前にとってあの日が最高なら、それを上回らせる日が来るのが今から楽しみだな。」

何度だって感動させて、何度だって最高と言わせてやる。

ローは当たり前のように、2人一緒の未来を思い描いた。


「ロー。」

「ん…?」

「好きよ…。」

「……なんだ、急に。」

いきなり言われると、胸が騒ぐじゃねェか。

ドキンと音を立てた心臓の動きが、モモに伝わらなければいい。

動揺を隠すために、わざとぶっきらぼうに応えた。

照れ隠しだってバレているとも知らずに。


「…愛してる。」

「……ッ、だから…なんだ、急に。」

心臓が早鐘を打つ。

恥ずかしいことを恥ずかしげもなく言える彼女を尊敬すらする。

「ずっと、ずっと、ずーっとよ!」

力強く言ったと思えば、クルリとこちらを向いてギュッと抱きついた。

オイ…、そんなにくっついたら、心臓の音が聞こえるだろうが…ッ。

だけど離れて欲しくもなくて、そっとモモを抱き返した。



ずっと、ずっとよ…。

あなたの未来に、わたしがいなくなっても。


さようなら、わたしの…--。



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