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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第30章 宝よ眠れ




「ごめんなさい、全然気がつかなかった…。」

好きとか可愛いとか言われても、全部冗談かと思っていた。

「知ってるッス。モモは船長ばっか見てたもんな。」

「そんなこと…。」

あるかもしれない。
最初の頃は強引で失礼な人だと思っていたけど、結局いつもローから目を離せなかったから。


「でも俺は、そんなモモだから好きになったんだよなー。」

モモの瞳はいつだって恋する女の子のものだったから。
だから惹かれたのだと思う。

「俺もいつか、そんなふうに見てくれる子と出会いたいッス。」

「…あなたは素敵な人だから、すぐに見つかると思うわ。」

「だといいッスけど! でも、とりあえずは、もっともっと強くなんなきゃな。」

仲間を船長を、そしてモモを守れるように。


「俺、強くなるからさ。そしたら、モモはもう海軍なんか怖がらずに自由に出歩けるようにしてやるッス!」

「…ペンギン、ありがとう。」

彼らの未来に、当たり前のように自分がいること。
自分の未来を、当たり前のように考えてくれること。

それが嬉しかった。

「お礼を言われることじゃないッスよ。俺ら、家族なんだから。」

「家族…。」

モモの家族はもういない。
だけど、自分が気づかなかっただけで、新しい家族はすぐ傍にあったんだ。


「わたしたちが家族なら、ペンギンは何役なの?」

シャチのようなお兄ちゃんだろうか。

「んー、俺はお父さんッスね。」

「お父さんなの…!?」

意外だ…。
お父さんはローなのかと思った。

「だって、ホラ。お父さんは仕事終わりに酒が飲めるだろ。俺、お父さんがいいッス!」

え、そこが基準なんだ。

やっぱり彼は一歩ズレてる。


「あなたって…、ほんとに…ふふふッ」

そういうところが とても魅力的。

「なんで笑うんスか。」

いつの間にか鼻血は止まってる。


「ペンギン、わたしを好きになってくれて、ありがとう。」

恋ではないけど、わたし、そういうあなたが大好きよ。


さようなら、わたしの家族。



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