第29章 最後の出航
「じゃあ、この島に行きたくってモモはエターナルポースを探してたんスか?」
「うん。」
「なんだ、相談してくれれば良かったのに。そしたらボクが探してあげたよ。」
この船の航海士なのに、相談もしてもらえなくて肩を落とす。
「あら、あなたじゃ無理よベポ。この私だって手に入れるのに苦労したんだもの。」
たかが無人島。
だけどそんな用もない島だからこそ、手に入れるのが難しい。
「私の手腕があってこそだわ。モモはあなた達にそんなワガママを言えなかったから、私に頼んだんでしょ。察して欲しいわ。」
フフンと鼻を鳴らせば、ベポがガクリと膝を突く。
「使えないクマでスミマセン…。」
「ベポ、わたしも手に入るかどうか わからなかったから言わなかったの。ゴメンね。」
うなだれるクマをなんとか宥めすかす。
「でも、なんでまた無人島なんかに?」
シャチの質問は、当然聞かれるだろうと思っていたこと。
だから言葉に詰まることなく答える。
「この島、ここからそんなに遠くないの。植物ばかりの島よ? 興味あるに決まっているじゃない。」
モモは薬剤師であると同時に、植物学者でもあるのだ。
普段から植物に対しては、人一倍関心があるモモだから、仲間たちは納得がいったように頷く。
「モモらしいッスね。船長、俺たち、特に急いでるわけじゃないんだし、次はこの島を目指してもいいッスよね?」
最近の目的といえば、空島に行くことだ。
でも急いでいるわけじゃないので、島のひとつやふたつ、寄り道しても構わないだろう。
「ああ、好きにしろ。」
「んじゃ、次の目的地はシルフガーデンってことで!」
早々に許可が下り、船上に「おーッ」と掛け声が上がる。