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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第29章 最後の出航




「それで、メルディア。お前はなにしに来たんだ。わざわざ見送りか?」

モモと彼女の間柄を考えれば、それも不思議ではないが。

「…いえ、もちろんそれもあるけど、モモに頼まれていたものを届けにきたのよ。」

「頼まれていたもの…?」

モモが誰かにものを頼むなど珍しい。


なにをだ? と聞く前にメルディアは懐から小さな箱を差し出した。

「遅くなってごめんなさい。でも、約束はちゃんと守ったでしょう?」

モモは手渡された箱をパカリと開けた。

お願いしていたものを見つけ、瞳を輝かせる。


「…ありがとう。さすがメルね! 凄腕の商人だわ!」

箱の中には、エターナルポースがひとつ収まっていた。

「…? どこの島のだ。」

「ええっと、どれどれ…。」

ベポが箱の中身を覗き込む。

多少古びたエターナルポースに刻まれた島の名前を読み上げる。

「シルフガーデン…。」

どこかで聞いた名前だ。

「シルフガーデン? 聞いたことねぇぞ。」

首を傾げたシャチに反して、ベポは記憶を手繰り寄せる。


確か…、そう、測量室でモモと話した。

「ああ! あの地図の島か…!」

島の大半が緑に覆われた無人島。
その島の地図をベポは持っている。

2人で一緒にそれを眺めたことを思い出し、合点がいったようにポンと手を叩いた。

「あァ、確かにあったな…。そんな地図が。」

ベポが購入した地図はローも把握している。
だからそんな島があったことを記憶からほじくり返せた。


「で、なんでそんな島のエターナルポースなんスか?」

わざわざメルディアに頼んでまで手に入れたいモモの気持ちがわからない。

「…もしかして、モモ、そこに行きたかったの?」

そういえば、地図を見ていたときも、どの島より興味を持っていた気がする。


「うん…。どうしてもこの島に行きたいの。」

だって、緑で覆われた無人島なんて、これ以上理想的なものはないから。



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