• テキストサイズ

セイレーンの歌【ONE PIECE】

第29章 最後の出航




急いでハシゴを降りるけど、揺れる船にもたついてしまい、手間取る。

「モモ、危ないわよ! 私が登るから、船に上がりなさい!」

落ちやしないかとヒヤヒヤしながら見守った。

「大丈夫よ…--あ。」

言ったそばから足を滑らしてしまう。


「きゃあぁッ、モモ!」

メルディアはとっさに走り出し、受け止めようと腕を突き出した。


“ROOM”

ブゥンとサークルが広がる。

“タクト”

フワッとモモの身体が浮き上がり、そのまま引き寄せられるように移動し、船の上まで戻った。

「あ、ありがとう…。」

「お前はバカか? 自分の運動能力くらい把握しろ。」

ケガをしてからでは遅い。

「ごめんなさい…。」

真剣な眼差しを向けられ、シュンとうなだれる。

メルディアの来訪に浮かれ、迂闊な行動を取ってしまったことは確かだ。


「モモ…!」

そうこうしている内に、メルディアが息を切らして船へと上がってきた。

「あなたって子は…ッ、私の心臓を潰す気…!?」

モモが落ちたときの、あのヒヤリとした感覚が未だ胸に残っている。

「もっと、自分の身体を考えなさい!」

ピシャリと言われて、モモは肩を竦ませる。

「…ごめんなさい、メル。」

メルディアが怒るのは無理もない。
明らかに自分が悪いのだ。

「メル姐さん、ちっと怒りすぎだよ。モモのドジはいつものことだし、無事だったんだから いいじゃねぇか。」

あまりの怒気にハラハラしてシャチが仲裁した。

「黙ってなさい! あなた、これから先、本当にそれで……ッ。……いえ、私も怒りすぎたわ。ごめんなさい。」

「ううん。」

彼女の怒りは、自分を心配してのこと。
それがちゃんとわかっているから。



/ 1817ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp