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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第28章 心の痛みを




“港町 カプワ・ノール”は、その名の通り大きな港町が栄える島だった。

やはり地図で見るのと、実物を見るのでは ずいぶん違う。

多くの商船、貨物船、そして海賊船が停泊した港は、人の多さでごった返している。


「いいか…、くれぐれも! はぐれたりすんじゃねェぞ。」

わざと強調された語尾に、モモはもう、苦笑いするしかない。

ほんと、毎度お手を煩わせてスミマセン…。


「船長ー! 今日の昼飯は酒場で食うってことでいいッスよね? …ね!?」

これだけの港町だ。
きっと扱う酒も上等なはず。

浮き足立って仕方ない様子の仲間たちに、ローはため息を吐く。

「ハァ…。ったく、お前らには『自重』ってもんがねェのか。」

鼻先に酒をぶら下げれば、簡単に走って行きそうだ。

「ないッス。」

「そんなもんより酒ですね。」

「ボクもゴハンかな…。」


「…もういい、黙れ。」

聞いた自分がバカだった。

「あの、わたしはちゃんとあるよ。」

一応主張してみたけど、ローは冷たい一瞥をこちらに寄越した。

「そりゃァ、薬屋を目の前にしてから言うんだな。」

「……。」

ごもっともで。
そんなことない! と言えない自分が悔しい。




「なあ、船長。ウォーターセブンで船を受け取るまで1年もあるじゃないッスか。その間、どうするか決めてたりするんスか?」

酒場で大量の料理と酒を注文しながら、今後のことについてペンギンが方針を尋ねる。

「ああ。しばらくこのあたりの海域をぶらつこうと思っているが…。そうだな、まずは空島を目指す。」

「「おォ、空島…!!」」

北の海出身のローたちには、慣れ親しんだ有名な“絵本”がある。

『うそつきノーランド』

黄金郷を見たという冒険家 ノーランドの絵本だ。



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