第28章 心の痛みを
「ああ…、やっちゃった…。キャプテンに見つかったら、怒られるなぁ。」
「手伝ってあげるから、さっさと片付けちゃいましょう。」
散らばった地図を拾い集めた。
この中には彼らの過去と未来が詰まってる。
彼らの過去に、自分は存在しない。
そして、未来にも…--。
「あら…?」
散らばった地図のうち、とある島の地図がモモの目に止まった。
「なに、どうしたの?」
「うん…、この島が気になって。」
ピラリとその地図を拾い上げる。
「ああ、“緑の島 シルフガーデン”だね。」
「シルフガーデン?」
海域からすると、次の島からそう離れていないその島は、緑の島というだけあって、島の大半が森で覆われている。
「シルフガーデンは無人の春島なんだ。人や町はないけど、このとおり自然の恵みだけはたくさんあるから、なにかあったときのために地図を買ったんだ。」
「無人の…島…。」
小さな島を記す地図を、食い入るように眺めた。
「気になるの?」
「うん。…ほら、いろんな薬草が生えてそうじゃない。」
「そっかぁ、連れてってあげたいのは山々だけど、こればっかりはログポースの気分次第だなぁ。」
ベポは、エターナルポースがあればなぁ…と
申し訳なさそうに言う。
「そうね、次の島で運良くログポースが指してくれたらいいな。」
そんなに都合良くいくものではないと知っているけど。
「ところで、カプワ・ノールへはあとどのくらいかかるの?」
「うーん、1週間くらいかなぁ。」
「1週間か…、きっとあっという間ね。」
自分には、それまでにやらなくてはいけないことが山ほどあるのだから…。