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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第28章 心の痛みを




モモは身体を清めて ひと息吐くと、久しぶりの情事にひどく体力を消耗し、裸のままベッドでぐったりとしてしまう。

そんなモモの頭を、ローは労るように撫でた。

「悪い、無理させちまったか。」

「ううん、わたしに体力がないだけよ…。」

汗を掻いたのか、ローは上半身が裸だ。
派手派手しいタトゥーがよく映える。


「わたしもコレ、入れてみようかな…。」

ツ…とローを彩るタトゥーをなぞる。

「ダメだ。絶対、許さねェ。」

「え、どうして?」

半分は冗談だったのだが、こうも強い口調で言われると、逆に気になってしまう。

「こんなに綺麗な肌をしてるのに、傷つけるなんてバカらしいだろ。」

「傷つけるって…、タトゥーはキズじゃないでしょう。」

自分はそれだけ入れといて、なにを言ってるんだか。


「うるせェな、お前の肌は俺のものだ。俺がダメっつったら、ダメなんだよ。」

そのままローはモモの手を取り、白魚のような肌にガジリと噛みついた。

「いたた…。じゃあ、ローの名前を入れるっていうのはどう?」

『DEATH』の文字より、よほど素敵だと思うのだけど。

ローもこれには一瞬考えるような顔をしたが、すぐに「ダメだ」と却下した。

「俺の名は、お前の内側に刻むから、それでいいんだよ。」

消えないように、何度でも…。


その言葉を聞いて、モモはなにを思ったか、己の腹部に手を当てた。

たった今、この内部に刻まれたばかり。

「…うん、そうよね。」

自分の中にはローの名が、永遠に刻まれている。

だから、肌の上の主張など必要ないのだ。

答えに満足したのか、モモはローの胸に擦り寄り、就寝の体勢をとり始める。

ローはそんな彼女に枕として腕を差し出しながら、毛布を引き寄せた。


(本当は、もう1回くらいシてェんだけどな…。)

腕の中で早々にウトウトとするモモに求めるわけにもいかず、こればかりはグッと我慢した。



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