第28章 心の痛みを
ローはモモの願いを叶え、いつになく優しい律動で抜き差しをした。
ゆるりと優しく揺すられ、柔らかな快感が波のように押し寄せる。
「ん…ッ、は…ぁッ」
みっちりと繋がった箇所から、ちゅぷちゅぷと淫らな音が響き、そのリズムに合わせてベッドが軋む。
「気持ち…いいか?」
「うん…、いい…ッ」
気遣うように緩く動かされる腰の動きは、いつもの奪うようなものと、まるで違う。
我を忘れるような狂おしい快感こそないが、なにか満たされるような、そんな気持ちよさがモモを包む。
夢中になりすぎず、少し冷静でいられるだけに、普段よりローの存在を近く感じられた。
ゆっくりだけど、確かに自分の奥底へと彼は侵入してくる。
ひとつになっていることに、喜びで打ち震えそうだ。
「…泣いているのか?」
胸の熱さを我慢できず、眦から流れた涙をローが拭った。
「うん…。嬉しくて…。」
あなたとひとつになれたことが、こんなに嬉しい。
「今さらなに言ってんだ…。変なヤツだな。」
自分たちが繋がったのは、いったい何度目のことと思っているのか。
「ふふ…、そうね。」
細められた金緑色の瞳から、新たな涙が流れる。
ローはそれをあやすように舌で舐めた。
「くすぐったい…。」
違うの。
今さらじゃなくて、
今だから嬉しいの…。
ロー、わたしね。
あなたと本当にひとつになりたかった。
このまま溶けて、あなたの一部になりたかった。
そうしたら、いつまでも一緒にいられるでしょう?
涙を舐めるローの頬にキスをして、その身体を強く強く抱きしめた。