第4章 ホワイトリスト
「──!」
残虐な行為に思わず目を瞑りそうになるが、様子がおかしい。
バラバラにされたはずの海兵たちは、皆一様にピクピク動いているのだ。
(……生きてる?)
「くそー! オペオペの実の能力か!」
ゴロリと転がった生首が喋る。
(こ、怖い。)
モモはムクリと身を起こした。
「--ッ」
先ほど殴られた背中が痛む。
「オイ、大丈夫か。痛むのか?」
ローが腕を引き、立たせてくれる。
「……どいつがやりやがった。今すぐ息の根を止めてやる。」
(待って、こんな無惨な姿にするだけで十分でしょう?)
モモはローの袖を掴んで、ふるふると首を振る。
「……チッ。」
「トラファルガー・ロー! 貴様がなぜセイレーンを狙うかは知らんが、止めておいた方がいい!」
腕のない上体だけになった海兵のひとりが叫んだ。
「あ?」
「貴様がセイレーンを連れて行けば、命はないと思えよ! 我々海軍が黙ってはいない!」
「!!」
その言葉は、モモの胸を貫いた。
(わたしがいたら、みんなが危険に晒される…!)
「だからどうした。てめェらに何が出来る? 懸賞金が上がったところで、俺は痛くも痒くもねェ。」
逆に箔がついて嬉しいくらいだ。
「俺の女だ、てめェらにアレコレ言われる筋合いはねェよ。」
「後悔するぞ!トラファルガー・ロー!」
これ以上は話の無駄だ。
詳しいことは後でじっくりモモから聞けばいい。
「オイ、モモ…──」
さっさと連れ帰ろうと振り向くと、そこにモモの姿はなかった。
「あの女……ッ!」
彼女は一度ならず二度までも、ローから逃げた。
(まずはアイツの足から切るべきだったか…。)
盛大に舌打ちをして、行方を探す。
「キャプテーン!」
向こうから仲間たちが走って来た。
「モモいましたか? この街、海軍だらけで息が詰まりそうだ!」
「ちょうどいい…。ベポ、船を出せ。」
「え、モモは?」
もう見つけた、と仲間たちに言う。
「シャチとペンギンは今すぐ街で補給をしろ。用意が整い次第、この島から出るぞ。」
「「アイアイサー!」」