第28章 心の痛みを
「さて、そろそろ俺に構ってもらおうか。」
ローはモモを抱いたまま、ベッドへ足を向けた。
「あ…、待って。…わたし。」
「フザけんな、俺がいくら待ったと思ってる。」
ドラム王国ではモモに嫌な想いをさせてしまったから、しばらく仕事を優先させてあげていたけど、もう限界だ。
ベッドに彼女を下ろすと、そのまま自分も覆い被さるようにベッドへ上がった。
「あの…、ロー。」
「なんだ…?」
額にキスを落としていたローが顔を上げ、間近で目と目が合った。
ローの優しい瞳の中には、確かにモモが映っている。
その瞬間、ぎゅうっと胸が締め付けられた。
「…なんでもないわ。」
彼の手のひらを取り、自分の頬へ持ってきて擦り寄せる。
この手の温もりがモモは大好きだ。
「モモ…。」
ローは手をそのまま添えたまま、彼女にキスの雨を降らせた。
頬、唇、首筋とキスはどんどん下へとおりていく。
そうして、いつの間にかはだけさせた胸元にも口づけを落とす。
「ん…。」
自然とモモの口から艶めいた声が漏れ始める。
もっと喘がせたくて、柔らかな膨らみにも口づけ、舌を這わす。
「ふ…ぅ…。」
綺麗な桃色をした先端を口に含めば、嬌声は徐々に大きくなっていく。
(出会った頃は、喘ぎ声どころか なにもしゃべれなかったんだよな…。)
ふと出会った当初を思い出した。
己の異能を恐れ、声を封印してしまったモモ。
どうしても声が聞きたくて、こんなふうに責め立てたこともあった。
そんなに昔のことではないのに、ひどく懐かしく感じた。
どれだけローが願おうとも、一声も発さなかった彼女は、今、自分の傍でいろんな声を聞かせてくれる。
その事実が、嬉しく、愛おしい。