• テキストサイズ

セイレーンの歌【ONE PIECE】

第27章 決意




「…悪かったな。」

「え…?」

急に詫びたローに、心当たりのないモモは目をぱちくりとさせた。

「昨日のことだ。薬剤師であることを隠せと言ったことは、俺は今でも間違いじゃねェと思ってる。…だが、お前には辛いことだったはずだ。」

もし、ローがモモを愛すだけの ただの医者であったなら、きっとモモと共に国中の人々の病を治し、愚かな王に立ち向かったことだろう。

しかし、ローは医者であると同時に、海賊の船長でもあるのだ。

医者であることと同じくらい、海賊であることに誇りを持っている。

だから、モモの願いを叶えるためだけの男としては生きられない。

モモのことが1番大事だということは、間違いないはずなのに。

そのことに心苦しさすら感じる。


「…大丈夫、わかっているわ。」

ローの腕にもたれ掛かり、肩にこてんと頭を預けてモモは言った。

「あなたが、わたしやみんなのために そう命令したって、わかってる。あなたが、なにを優先させなくちゃいけないのか、…ちゃんとわかってるから。」

好きな女のワガママよりも、仲間全員の命。

それを優先できない人なら、最初っから惹かれたりはしない。

ローが優しくて誇り高いから、モモは彼を好きになったのだ。

だから決して、自分のためになにかを犠牲にしないで欲しい。


「ねえ、ロー。聞きたいことがあるの。」

彼の肩にもたれたまま、モモは静かに問いかけた。

「…なんだよ。」

「ローの夢は、なぁに?」

「俺の、夢だと?」


海賊王になり、この海を制すこと。

ひとつなぎの大秘宝を手にすること。

どれもローの夢。

だけど、自分の本当の夢は…。

果たさなくてはいけない使命は…。



/ 1817ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp