第27章 決意
「ねえ、ベポ。そろそろローたちが帰ってくる頃ね。」
「んぁ…、そうだねぇ。」
翌朝、まだ日が上って間もない時間にもかかわらず、モモとベポはデッキで3人の帰還を待っていた。
明け方というのは、いっそう冷え込みが激しく、昼間より上着を1枚多く着込んでいるのに、歯がカチカチと震える。
「…町まで迎えに行かない?」
「ええ…ッ、ダメだよ! キャプテンは船で待ってろって言ってたし、そんなことしたら怒られちゃうよ。」
「そうしたら謝るわ。」
いやいや、怒られるとわかっているなら別に迎えに行かなくても…。
この島に来てからというもの、モモは変に積極的だ。
「んと…、あんまり動き回ると、帰ってきたキャプテンと行き違いになっちゃうかもよ?」
ローたちが帰還したら、なるべく早めに出航する予定なのだ。
はぐれてしまってはマズイ。
「それなら、町の手前にある公園で待ちましょう。あそこなら、船に行くまで必ず通る道でしょう?」
「それは…そうだけど。」
ベポは知っていた。
こういうときのモモは絶対引かないということを。
(公園までなら…、いっか。)
アレコレと押し問答をしていると、モモひとりで行ってしまいそうだ。
「わかった。じゃあ、公園でキャプテンの帰りを待とう。」
「うん。ありがとう、ベポ。」
そうして2人はローに怒られるのを覚悟で公園へと向かった。
それからしばらく。
朝日が徐々に顔を出し始めると、家の中から町人たちがちらほらと顔を見せる。
一緒に来たはずのモモの親友は、朝が早かったこともあり、モモが座る隣のベンチで横になり、すやすやと眠ってしまっていた。
(…ゴメンね。)
自分のワガママに付き合わせてしまったことを、心の中で詫びる。
そのうち子供たちが駆けてきて、公園で遊び始めた。
そんな子供たちの様子を、どこかぼんやりとした気持ちで眺めていると、背後からサクサクと雪を踏む音が聞こえてくる。
(来たかな…。)
すぐ後ろで止まった足音に振り向く。
「お帰りなさい、ロー。」