第27章 決意
ドレスローザは、4年前、当時 七武海になったばかりのドンキホーテ・ドフラミンゴが王として即位したあと、劇的な変化を遂げた。
前王 リク家は、国中に贅沢な暮らしを与えたわけではなかったが、貧しいながらも安寧な暮らしを民にもたらした。
リク王家が国を治めた800年間、ドレスローザはただの1度も戦争を起こしてはいない。
それは、奇跡に近い快挙である。
しかし、それも4年前までの話…。
「生きるオモチャに、殺し合いのコロシアムだと…? なんだ、そりゃ。ナメてんのか、俺は冗談が嫌いだ。」
ローがワポルの心臓を握る気配を見せる。
「や…止めろ、カバ野郎! 俺様は嘘なんか吐いてねぇ! 本当だ、ヤツ本人がそう言ったんだからな。」
幾度となく召集された世界会議に、今まで1度も参加をしなかったドフラミンゴ。
しかし、今回初めての参加を決めたのは、彼の国がいかに幸せかというのを世界に知らしめるために違いなかった。
現在のドレスローザでは、命を持ったオモチャたちが人々を守り、助けることで“人とオモチャとの共存”というファンタジーが実現しているのだという。
生きるオモチャなど、とうてい信じられないが、ドフラミンゴがわざわざ世界会議の場でそんなヨタ話をするとも思えない。
(まさか、そんなガキの夢みてェなことが、本当に実現するのか…?)
それから、元は娯楽のひとつであったコロシアムは、今や囚人たちの公開処刑場と化していた。
罪を犯した人間は、そこで剣闘士となり、永遠に戦い続けるのだ。
(犯罪者か…。おそらくは、前王の縁の者や忠誠を誓った部下たちだろう。)
かたやファンタジックな、かたやドメスティックな。
ドレスローザは今、そんな歪な国と化している。