第27章 決意
「…なんだ、さっきから騒がしいな。」
「まったくだ、この部屋ではワポル様がお眠りになってあそばせるのに、なんの騒ぎだ。」
扉の前で控える側近、チェスとクロマーリモのもとに、数人の兵士がやってきた。
「申し上げます! 先ほど、地下牢から元守備隊隊長 ドルトンが逃げ出したそうです!」
「「なにィ…!?」」
側近2人は、声を揃えて驚きの声を上げた。
「ドルトンが逃げ出しただと? いったいどうやって…!?」
「わかりません…! ですが、罪人は未だ城内で暴れています。私たちの手には負えません、どうかお力添えを!」
相手は長らく牢に閉じ込められていたとはいえ、元守備隊隊長だ。
雑兵である自分たちが何人束になろうとも、勝てる相手ではない。
「まったく…、使えないヤツらめ。仕方ない、行くぞ、チェス!」
「ああ。…ワポル様にお知らせはするか?」
我らが国王は、後ろの部屋で眠りについている。
「いや、こんなことでワポル様をお起こしするわけにはイカン。さっさと片を付けよう。」
「…それもそうだな。」
そう言って、側近2人は知らせに来た兵たちと共に国王の部屋から離れた。
その様子をすぐ傍で侵入者が窺っているとは夢にも思わず。
「離れたな…。よし、行くぞ。」
この隙を逃さず、ローたち3人はすかさず黄金の扉へと手をかけた。
ガチャ…。
部屋の中では、国王と思わしき人物が大きなイビキを掻いて眠っている。
(…コイツが国王ワポル。)
だらしなく口を開け、まるでカバのような男だ。
「さて…。」
尋問の始まりだ。
DEATHの文字が描かれた指が、容赦なく能力を起動させる。
“ROOM”