第27章 決意
「国王には腕の立つ側近が2人いる。もし出してくれるのなら、私が彼らを引きつけよう。」
騒ぎを起こして注意を引く、と男は申し出た。
「それから王族しか使わない、山を下りる道を教えよう。」
そこを通れば、用が済んだあとも見つからずに下山できる。
「…なぜお前が、そんな道を知っている。」
ただの反逆者が、そんな道まで知っているのは不自然だ。
「申し遅れた。私は元王国守備軍隊長、ドルトンという。」
ズババ…。
カランカラン…と音を立てて、鉄格子がバラバラに切り落とされる。
そしてドルトンを縛る鎖にも刃を立てた。
ギィンと鎖が両断されて、ドルトンを自由にする。
「…ありがとう、助かった。」
「礼は必要ねェ、約束を果たしただけだ。」
取引という名の約束。
「ワポルの私室は中央棟の最上階にある。傲慢さを現したような金の扉だ、行けばすぐにわかるだろう。」
扉の前で控える側近2人は、ドルトンが引きつける手はずになっている。
「とはいえ、私も再び捕まるわけにはいかない。ある程度引きつけたら退散するから、そのつもりでな。」
「ああ、十分だ。」
王族専用の下山ルートを教えてもらい、ドルトンは先に牢を出て行った。
牢の外で、「ドルトン…!? どうやって外に出た!?」と驚きの声が上がり、次いでドカーンとなにかを吹き飛ばすような破壊音が聞こえる。
「…よし、俺たちも行くぞ。」
「「アイアイサー!」」
周囲の足音が遠くなっていくのと同時に、ローたちは外へ出た。