第27章 決意
「ま…待ってくれ…!」
もう用はない、とばかりに足を進めるローを男は止めた。
「…なんだ?」
「お前たちも…、国のために戦おうとしているのか?」
国のため、というのは正しくない。
ローは別にドレスローザの国を救うために、ドフラミンゴを倒したいわけじゃないから。
「別に国を救うつもりはねェさ。ただ、ヤツの治める国は、さぞかし地獄なんだろうな。」
きっと、そこが地獄だとわからなくなるくらい、じわじわと侵食されていくに違いない。
「……正直な男だな、君は。」
牢の中の男が少し笑った気がした。
「なんだと?」
「そうだろう、嘘を付いて私の共感を得ることもできたはずだ。」
言われてみればそうだ。
だが、国を救うなど歯の浮いたことを言うつもりはない。
それにしたって、男が言うように もう少しマシな嘘を吐くこともできたが。
(チッ…、アイツのバカ正直さが移ったか…。)
彼女には嘘を吐けと言いながら、反対にずいぶんと正直になってしまった自分に、ばつの悪さを感じる。
「…ワポルの居場所を、教えてもいい。」
そんなローを見て、男はそう呟いた。
「…なに?」
ローは自分の正直さに戸惑うところが男の信用を買ったとは夢にも思わず、急な心変わりに不信そうに眉を寄せた。
「その代わり、私をここから出してくれ。私には、やらなくてはいけないことがある。」
国王を止めることができないのなら、山を下りて国民の力になりたいのだ。