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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第26章 魔女とトナカイ




自分には、この国を再建させるような手伝いはできない。

だったら、せめて──。


「ねえ、チョッパー。この辺りに町を見渡せるような高いところはない?」

「高いところ…?」



チョッパーに連れてこられたところは、森の中にあるちょっとした丘だった。

少し離れているけれど、そこからはココアウィードの町が見渡せる。

そしてもっと遠くには、隣町も。

「ここからなら見渡せるだろ。」

「うん、ありがとう。」

「見渡してどうするんだ?」

「……。」


この島の人たちのために、薬剤師の自分は なんの役にも立てない。

だったら、セイレーンとして、ほんの少しでも役に立てたら…。

モモは大きく息を吸った。


『君を愛した日々は、わたしの唯一の奇跡。』

あの町まで届け。


『誰もがみんな、人恋しくなる季節がこの島を包んでいる。』

『誰もがみんな、笑い合って、しがみついて、歩いていた日々を思い出す。』

きっと、前の王様のときは、こんな国ではなかったはず。
それをみんなに思い出して欲しい。


『傷つけ合ってしまったら、どんな言い訳をすればいい。』

大切な誰かが傷ついてしまう前に、立ち上がって欲しい。


『白い雪に凍えそうな夜でも、君を愛してるのは、わたしのたったひとつの勇気。』

あの隣町まで届け。


『いつかきっと変わると信じながら、時間がただ過ぎていくのを待つのは、愚かすぎるよね。』

いつか誰かが変えてくれる。
ヒーローを待ってるだけじゃ、ダメなんだ。

そう、わたしも…。


『溢れる想いを抱きしめて、選んだ道よ。』

『白い雪に負けないように、君を愛してるのは、わたしの最後の勇気。』

あの山の、ローまで届け。


『溢れる想い抱きしめる、零れてしまわないように。』

この島でわたしはなにもできない。
だったらせめて…。


『白い雪に凍えそうな夜でも、白い雪に負けないように。』

『心が暖まる、その日まで。』

人々よ、元気であれ。
薬草よ、たくさん増えて元気になれ。


『君を愛してるのは、わたしの最後の勇気。』

『君を愛してるのは、わたしの唯一の奇跡。』


ロー、わたし、決めたわ。
向き合うって。


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